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今年は日中国交回復35周年に相応しい(?)日中関係の進展があり、来年は日中平和友好条約締結30周年を迎え、北京オリンピックの年であり、09年は中華人民共和国成立60周年の還暦を迎え、2010年は上海万国博覧会開催、2011年は中国最後の皇帝が倒された民主主義革命である「辛亥革命」が成功して100周年と日中両国に関わる私達にとって目が離せない今日この頃である。
しかし、一歩身辺を見回すと問題山積という感じである。天然資源に極めて乏しい日本にとって、唯一の力は人材であった筈だし、資本主義ではなく人本主義を提唱したのもたしか日本それも関西の財界からと記憶しているが、それすらが今危うくなっているのを私はとても危惧する。
■大学で感じる事
今各大学とも少子化、学力低下対策に追われ、一方社会や企業が求める即戦力の人材不足が取りざたされ、最近開催された巨大市場中国についての講演会・シンポジュームでの産業省や経済界の講演に多くの人々が熱心に聞き入っていた。
また、上海の同済大学は大阪市中心部に分校を設ける。日本と中国は建築基準法・建築士の資格もそれぞれ異なり、現状では中国の資格のみでは日本で仕事が出来ないし、日本の資格を持っていても中国では働けない。しかし、これからは技術者が両国で活躍しなければならないので、上海同済大学の学生が日本語を学び、日本分校で日本の建築基準法や建築士資格に関する学習をして両方の資格を取得できるようにするのが目的とのこと。勿論、日本人学生も両方で学位を取得して両国で活躍できる筈であるが、どれだけ日本の学生が入れるのだろうか。中国語習得状況から判断し危ういものである。
このような動きは建築関係に限らず、今後多くの分野で例えば医学関係では医師免許・看護士免許・薬剤師免許などが、両国共通で取る必要が出てくるのではないだろうかと思う。
また11月26日に「中国ビジネスに求められている人材育成と大学の役割」という勉強会が行われ、上海の教育関係者を招いての講演に多くの参会者が午後一時から六時近くまで熱心に聴き入り、産学協同でどう人材を作っていくべきか、どのような人材が必要かについてのシンポジュームに参加していた。
しかし、最近国際機関による調査では、日本の高校生の学力が以前よりランクが全般に低下していると報道され心配している。日本政府が行った所謂「ゆとり教育」により大学に入学する時点での学生の質が低下している。一方せめて大学でも出ないと就職もままならないというだけで入学させるが、親はリストラに合い授業料だけは出すが、教材・交通・食費は稼がなければならない学生が増加し、クラスの学生達に聞くと殆どが「バイトをしなければならないので、学校のクラブ活動に参加できない」とのこと。学則では90分の授業に対して3時間以上かけて予習復習して初めて4単位与えるとあり、度々注意を促しているがバイトに時間を取られてできないようである。
マスコミで報道されているように、奨学金を貰って卒業をしても安定した就職先がむつからず、奨学金が返せない人達が増えているとのことだ。
また所謂「学力低下」は、知識も去ることながら頭で考える力・応用力不足とのこと。つい「右傾化している政府に都合の良い人材養成では?」と思いたくなる。授業中彼らが質問しないので、いつも「質問」と言って私から学生に質問を投げかけることにしている。すると殆どが意味も分かっていないし質問もしない状態なのである。ゼミでビジネス中国語の授業をしているのだが「補償貿易」「D/P」「D/A」とそのまま字面だけで翻訳し、その意味を知ろうとしない。以前であれば数人は必ず研究室に質問に来、図書館で資料を調べて翻訳していたのに、今はしないのでお目玉を貰う羽目になっている。
先生方と顔を合わせば、これらをどうするべきかあれこれ意見を交換しあっている。学校でもワーキンググループで活発に討論が繰り返されている。これは大変大事で、一つの大事な転換点に今差し掛かっているのかもしれない。
■何が不足?
以前私は「二十一世紀は四きょう時代」協力・競争・協調・共生を挙げて学生を励ましてきたが、最近は「五強時代」と一つ「共創」つまり創造性・クリエーティブが求められていることを、学生に提示し「学而不思則罔,思而不学則殆」つまり、学んでも自分の頭で考えなければお先真っ暗、でも今ある知識だけでいくら考えても学ばなければもっと危いと説明し、眉唾精神を紹介している。しかし長年の学習習慣の所為か説明だけではなかなか行動に結びつかないので、例えば最近日本ビジネス中国語検定試験があり、私の学生もチャレンジし沢山受験したのは良いが、以前のように持ち帰った試験問題を点検したり、分からなかった点を聞きに来なかったので、黒板に「失敗は成功の母」と書き、「試験後試験問題を持ち帰って宜しい」とした理由は、持帰り復習し、辞典を引き点検して欲しいからなのだ。何故点検・復習しないのかと学生に厳しく問いただし、例え不合格であったとしてもそうする事がいかに大切かを説明した。皆は「はっ」と気が付いたようで「日頃言われてきたのに恥ずかしい」と多くの学生から反省の声が聞かれた。
■ビジネス中国語・ビジネス日本語
12月2日ビジネス中国語検定試験が実施され、本年は嬉しいことに大阪会場は前年より30%増の受験者が受験した。
日本ビジネス中国学会は故伊地知先生が発起人となり設立された小さな学会だが、関係者の努力もありビジネス中国語検定試験は今年で17回目を迎え、今年はすぐビジネスの現場に対応しうる高度な人材が求められている現状に即応して、一級試験を開始した。一級試験は、一次の筆記試験と二次のヒヤリング・口頭通訳試験を実施した。
一方社会・企業もビジネス中国語のできる優秀な即戦力人材を必要としていることから、中国は「HSK――漢語水平考試」以外に、今年から初めて全国各地で一斉に「第一回ビジネス中国語試験――BCT」を実施した。これは従来中国政府の行っていた中国の大学に入学する学生選抜のための中国語レベルテスト「HSK」以外のビジネス中国語理解度を図る試験である。この試験の欠点は、日本語への翻訳能力を問う試験がないことだ。しかし、模擬試験問題集で見る限り、中国語でのヒヤリング能力、文章の理解度についてかなり広範囲な内容がテストされ、経済・貿易関連用語約1.500単語が明示され、これらをマスターするよう要求している点は優れている試験であると感じた。各日本企業・合弁企業で現在勤務している方々も、是非今後沢山受験されビジネス対応能力向上を図って頂きたい試験である。
今回は準備期間が短かったこと、日本ビジネス中国語学会のビジネス検定試験に向けて関西の関連大学は準備をすすめ手が回らなかったこともあり、また日本ビジネス中国語学会の検定試験日とほぼ重なっていたのも影響したのではなかろうか。第一回BCT試験の受験者は少なかったようだ。しかし、今後各企業が重視するであろうと思われる試験であり、日本人の一番弱い点の強化にも繋がる試験であり、この普及を期待している。
■アジア人財資金構想
全国の状況は掴んでいないのだが、大阪では11月28日と12月7日に2007年グローバル人財活用セミナーが開催され、神戸でも12月7日に「神戸地域企業向け雇用促進セミナーと銘打って、「グローバル時代を乗り切る企業〜高度人材としての留学生採用ススメ(カタカナは意味深長)」をテーマに開催された。これは2007年に経済産業省が打ち出した「アジア人財資金構想(高度実践留学生育成事業)」で、巨額を投じて「委託事業」として大学と産業界等が連携して構成されるコンソーシアムが公募実施する事業である。
大阪の関連資料によれば、日本企業・日系企業に就職する意志のある、能力・意欲の高いアジア等からの外国人留学生800人に対し、ビジネス専門教育・日本語教育から在留資格に関する相談・就職支援までの一連のサポートを行い、日本の産業界で活躍する人材の育成を推進していく経済産業省の事業である。事業全般についての企画・管理を大阪では大阪府が、運営を管理法人「財団法人大阪労働協会、(株)東京リーガルマインド」が行い、JOBカフェOSAKAや大阪府行政書士会・大阪商工会議所・協力企業等と連携しながら、留学生及び受入企業の人材戦略を支援するとのこと。
このように上記の「中国ビジネスに求められる日本人の人材養成」から、最近ではアジア留学生の育成に力点を置かれる傾向が見られ、政府は日本人の育成を諦めるの? それで良いと考えているの? と言いたい。
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