| おじゃまします(56) 第二部<わが社の中国ビジネス−13> |
山陽総業株式会社
リポーター 南島順子 |
「いずれにしろ海外に出るということは大変なことですね。出る時にはわりと気軽に出て行ったんですが…。」
山陽総業株式会社会長、西山重敏氏は開口一番、こう切り出した。
二ケ国同時スタートの海外進出
山陽総業株式会社は、昭和17年創業の岡山県赤磐市に本社をおく住宅向け建築部品の製造会社である。10年前に中国とラオスに木材加工工場を建設。大手建材メーカーから住宅の壁面収納ユニット、システムキッチン、防音ドアー、掘炬燵、間仕切り、ヌレ縁等の製品を受注し、一部を中国福州工場で製造している。
創業当初は戦後、木製品の製造輸出で急激に成長、その後、合板製造や住器、インテリア工芸等に手を広げ順調に発展してきたが、バブルの崩壊を機に海外への進出を考えざるを得なくなった。当時社長だった西山氏は、森林資源が供給できるところを立地の条件にして現地調査をスタート。中国国内の各地から始まってミャンマー、タイ、ベトナム、ラオスなどを訪ねた。中で最も有力な候補地だったのがミャンマーだったそうだが、この国は軍事政権国家だからどうなるかわからないという政情不安がどうしてもふっきれなく、あきらめたという。結果、中国福州とラオスの2ケ所が選ばれた。1997年から1998年にかけて、山陽総業鰍フ100%独資になる「福州山陽木業有限公司」を中国福州市に、「LAOINDUSTRIESDEVELOPMENTCO.,」をラオスのタケク市にあいついで設立、ほぼ時期を同じくして操業が開始された。
信頼しなければいけないが信用してはいけない
意気高く2艘で船出をした山陽総業の持ち船「福州丸」と「ラオス丸」だが、その10年強の航海は、厳しい荒波の連続だったという。大嵐、暗礁、やむを得ずの進路変更、乗組員の反逆等々、海外進出企業の常道で、さまざまなことに遭遇してきた。よくぞ難破も沈没もせずにここまでこれたもの、進出時に十分な事前調査をしたつもりであったができていなかった、経験不足などが反省点だ、と西山氏は述懐する。
松や花梨などの良質な森林資源に着目して入ったラオスだが、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国と、すべての国境線が他国の陸地と接している内陸国。だからラオスには荷の積出港がない。そのため運送費が非常に高くつく。
またラオスで初めての100%独資海外企業ということで、工場運営も困難をきわめた。加えて税体系も未整備だった。これらの事情が複雑にからまり、ことは当初の思惑通りにはいかなかった。
(現在、ラオス工場は山陽総業と切り離して個人会社とし、手がける製品も大型の建材部品から、木工食器など運送費が安いクラフト製品に切り替えている。)
一方、中国福州という地はすでに進出済みの企業も数社あった。労働力も豊富で、語学面での人材にも心配はないように見えた。しかし西山氏は「人を信用しすぎた」とくやしがる。加えてバブルがはじけて販売価格が下がり続け、メーカー側からの要求は厳しくなる一方。天然木の伐採規制も始まった。経営的にも日本人社員を常駐させるだけの余裕もない。
これらの経験から、西山氏は、「信頼はしなければいけないが信用してはいけない」「まかせすぎてはいけないがこちらが全部してしまってもいけない、要はバランス」と言う。
これからの中国で中小企業がやれること
西山氏は先ごろ北京の友人の自宅の内装設計について相談を受けた。その友人は日本の畳、ふすま、障子などを使って、日本スタイルの住まいを作りたいのだそうだ。しかし直接日本から運びこむのでは、コストが非常に高くつく。そこで設計から始まって建具作りの技術指導もしながらの日本風インテリア作りのお手伝いをしている。近々完成の予定とのこと。このように、最近中国では日本の住宅スタイルに関心をもっている人が結構増えてきているらしい。お金持ちのステイタスにもなりつつあるようだ。最近社長から会長に退いた西山氏はこういった日本嗜好に眼をつけ、いま、日本テイストの家具、建具を作ったら売れるのではないかと考えたりしている。
またラオス工場で作っているクラフト製品をインターネットで販売するようにしたところ、販売成績が確実に伸びてきて、営業費の節約になっているという。
そこで西山氏はいま、この猛スピードで増えてきている中国国内社会の高級化とインターネットの急速な発展に眼をつけた、これからの中小企業の新しい展開方向を模索中だ。“自社で企画し、自社でデザインし、自社で販売網を持った、質の高い商品”を作り、インターネットを利用して販売していく方法だという。
西山氏は言う。「何も画期的なアイデアではないが、自分のところのオリジナルで、客がどういう方向のものを好むのかというのをつかんだ商品を開発していくこと。大手企業がどんどん入ってきている中国では、これからは大手の下でやっていける業種とやっていけない業種とに分かれてくるでしょう。内需に眼を向けざるを得ない中国は、ある意味で、今が、我々中小企業者にとってチャンスが大きくふくらんでいるように思います」
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