なみかわかほこの「私と中国の30年」(9)    
駐在の体験は勉強になることばかり
 この会社で改めて知った事は、女性はとにかくおしゃべりという事です。
 中国の女性も噂話が大好き。これは世界共通かも。まして、人数が多いのも要因でしょう。
 若いせいか、他人の言う事を妄信する人も多いようで、「黙って仕事をしなさい」と注意しても、静けさは、三分間と持ちません。
 「赤信号みんなで渡れば怖くない」なのでしょうか。

 朝ベルが鳴り、椅子に座ると一斉に喋るとどんな状況になるのか、体験してみなければ想像もつかないでしょう。
 パソコンが林立する、死角ができやすい状況もおしゃべりに絶好の場を与えてしまうようです。
 これがミシン工場の針子さんであれば、あるいはベルトコンベアーの傍での流れ作業であれば、話がしたくてもできないでしょうけど。
 休み明けの朝には、おしゃべりはさらに盛んになります。 私は、それならば、としばらく黙認した事があります。
 すると、30分ぐらいして喋るネタが切れる頃だんだん静かになっていき、昼食後再び20〜30分おしゃべりが始まります。
 3〜4時頃には仕事に飽きてしまったのか帰宅を心待ちにしているのか、おしゃべりや化粧、着替えのために席を立つ人が急増、トイレが超満員状態になることも珍しくありませんでした。
 緊急の大きな仕事が入った時は私が現場に座っていると静けさが保たれ、仕事もはかどるようになる。
 遠視のため、部屋の奥の状況も見えるので、時々「窓際に座っている何番目の人、いつまで喋っているの」などとマイクで言うと、向こうは驚き、なぜ分かるのかという顔をして隣の人とまた囁き合う。

 もうひとつの発見は、女性は恋愛をすると、オシャレになる。
 ですがデートに気が取られるのか、仕事がおろそかになる傾向があり休みがちになる人も多い。
 ところが男性はというと、恋愛によってさらに仕事に精が出るようです。
 これは男性の宿命なのでしょうか。
 女性が結婚して妊娠すると、七ヶ月から毎日1時間の早退が始まり、出産後三ヶ月か四ヶ月は産休、子供が一歳になるまで毎日1時間の授乳早退か遅出。これは中国労働法に基づくもので仕方がありません。
 ありがたいことには、中国の女性は99パーセントがタバコを吸わないので、社中の空気を清浄に保つ事ができます。
 トイレで隠れて吸う者も絶対にいないと自信を持って言えます。

 以上のような事は、日本で女性の多い企業とはどんな点が違うだろうか。
 上海ではさまざまな出来事に出会い、中国流に言えば「酸甜苦辣」(酸も甘いも苦いも辛い)の多種の味を味わうことができた。
 顧みれば、私にとっては勉強になったことばかり。
 もし拾歳若かったら、もう一度中国で仕事をしてみたいと思います。
                          (2003年6月出版「私と中国の三十年」より)