なみかわかほこの「私と中国の30年」(8)    
着物の着付け、生け花などを紹介
 上海日本人婦人会メンバーに協力して頂き中国人女性から大好評だった物があります。
 私が上海で勤めていた合弁企業は女性社員が90パーセントを占めており管理職は大卒、一般のワーカーは高卒、他は専門学校の女性で構成されていました。
 全フロア若い女性職員という壮観な眺めに、見学者の男性から「うわあ、すごい。うらやましい!」と感嘆の声が上がることもしばしば。
 男性のそういった声の半分は本音だったのかも知れませんが、「黒一点」もない女性だけの職場には確かに独特の雰囲気が漂っていました。

 1989年時点、上海市では、日系企業の日本人駐在責任者(総経理、工場長、所長など)はほとんどが男性で、当社が進出当初、上海の女性駐在員の管理職は私を含めて、三人もいませんでした。
 近年急増してきてはいますが、要職につく女性は依然少なく、これは日本社会の構造なのか、女性の能力が認められないのか、あるいは女性の結婚退職などが原因となっている生なのか、日本国内でも議論されている点です。
 女性の社会参加がますます増えていく21世紀には、女性自身が働く立場を熟考すべき時代となるでしょう。

 話はそれてしまいましたが、男女平等を唱える中国では、「同工同酬」(同一労働、同一賃金)が一般的。従って私が中国で総経理(社長)の職にあっても何の不調和もなく、むしろ女性の多い職場では社員から恐れられた一方で親しみも受けました。
 
 男性には出来ないであろう職場の雰囲気作り、福祉なども出来、語学を利用して日本の習慣や着物の着付け、生け花などの日本文化の紹介も行い、中国人女性から大好評を受けました。
 和服の着物は中国の呉の国(蘇州)から日本に伝わった服なので呉服ともいう。
 生け花は年に3〜4回成績の良い者を選んで経験をしてもらう。
 一回に20人ぐらい。自己流で私個人が教えた事もありましたが、上海の婦人会から約10人くらい来て頂いて手取り教えて頂きました。
 着物の着付けの時は全社員の抽選で一回50〜60人ぐらいを選び、日本人婦人会から会長以下10人以上もの方に来て頂き振袖、小紋、浴衣(私個人が用意した物)を着せ浴衣の場合一人二ポーズを写真に撮ってあげる。
 振袖に抽選で当たった者は社内を一周周って見せる。(他の者は仕事中のため)あのうれしい顔、楽しい声は今も忘れられません。
 婦人会の方々ご協力大変有難う御座いました。

 女性がトップで有利な点は何か?私自身の場合は、仕事中でも食堂でも気軽に誰の傍にでも座って話せる事でした。
 急病人や身体の不調者を見つけて休ませ(ノルマ制のため休みたがらない)生産量の落ちた者と直接その原因やいきさつについて話し合う。
 もちろん、会社には課長などの管理上司はいるけれども、忙しい時や、気がつかない時があったり、または互いの年齢が近いことなどでプライドが邪魔したりして、直接その上司に話せず、日本人の年配者である私のところに来る社員も多かった。
 
 特に直接の上司の不満や、不平等な扱いをされたなどの訴えもありました。
 総経理室はガラス張り。そんな時は他の職員に見られないよう倉庫に隠れて話を聞いたものです。
 民主、公平を心がけていた私は、特定の職員を親しくしないように、また訴えに来た者やその内容を第三者に知られないように、安心して話しに来られるような環境を作ることに気を配りました。
 トップとしての私は、ねたみ、恨みを買い、職員の働く意欲と信頼を失うことをいつも念頭に置いていました。
                             (2003年6月出版「私と中国の三十年」より)